INTERVIEW
今回は、電力データを活用した見守りサービス「テラシテR」を導入いただいている
株式会社丸八アセットマネージメントの平野社長をお迎えして、インタビューを実施致しました。
株式会社
丸八アセットマネージメントさま
静岡県浜松市を拠点とし、マンションやアパート、オフィス等の賃貸管理を行う県内最大の不動産管理会社。
管理戸数:約15,000戸
(1)見守りサービスを検討していた背景を教えてください。
平野啓介社長

当社の管理物件は約70%が単身向け物件ですが、建築当初ターゲットとしていた若年層の減少は明白であり、中長期的な単身向け物件の空室対策が課題でした。
空室対策として、2部屋を1部屋にリフォームする等も検討しましたが、コスト的あるいは技術的な側面から難しいと判断、一方で増加傾向にあり今後も増えることが確実視される高齢者の入居促進を検討し始めました。検討を開始した頃、業界では孤独死保険の新商品が増えた印象がありましたが、金銭的補償のみで良いのか個人的には疑問でした。管理会社の立場として、オーナー様の大切な資産をお預かりしている以上は、居室内で人が亡くなること可能な限り避けたいと考えており、孤独死を予防するソリューションがないかを考えていました。
また高齢者の入居促進については、これまでもオーナー様によっては断られるケースは多々ありました。そのため、オーナー様への説得材料として、孤独死の未然に防ぐことができ得る見守りサービスの導入について検討し始めました。
(2)「テラシテR」導入に至った理由・きっかけを教えてください。
見守りサービスについては幅広く検討しましたが、多くは機器設置型のサービスでした。当社の管理物件のインターネット普及率は高いですが、全ての物件で導入されているわけではないため、Wi-Fiタイプは見送りとなり、代案のSIM内蔵タイプもコスト面から導入を断念しました。
サービスの比較検討を進める中で、テラシテRを採用した1番の理由は、機器管理の手間がない点です。現場からは、機器の設置や撤去の手間がかかるだけでなく、故障した際にも入居者様と連絡を取り現地対応を行う必要があることに懸念を示す声が大きく、機器設置型のサービスは避けたいという声がありました。
特に当社では、多くの業務をアウトソースしており、外部委託事業者に機器設置や故障時の対応を依頼することも一定の手間がかかります。
他方、テラシテRは機器設置の必要がなく、設置や撤去、故障対応等のデバイス管理業務が不要です。現場の意見も踏まえ、業務負荷の少ないテラシテRを採用することにしました。
(3)導入後の反応は如何でしょうか。
高齢者の受け入れに対して、引き続き消極的なオーナー様は一定数いらっしゃるものの、テラシテRを活用して高齢者の入居を提案することに対し、評価して頂けることもありました。また、テラシテRの導入を機に高齢者の入居制限を解除して下さったオーナー様も多数いらっしゃいます。
テラシテRの導入について、客付け業者の反応は悪くなく、ご紹介できる物件が増えてよかったとの声がありました。費用負担に関しても、ご本人やご家族にもメリットがあるという声や、居室の選択肢が増えるのであれば付帯サービスが追加されることも入居のハードルにならないという意見もあり、ポジティブに捉えられている印象です。
(4)「テラシテR」導入のメリットは何でしょうか。
業務の手間を増やすことなく、社会問題である高齢者の孤独死リスクに備えながら空室対策を行うことが出来る点が最大のメリットだと考えています。
また、副次的メリットとしては認知症の疑いがある入居者を把握出来たことです。当社では、新規入居者のみでなく、既にお住まいの入居者に対してもテラシテRをご案内しておりますが、電話で会話するなかで、認知症の疑いがある方がいらっしゃいました。入居期間の長期にわたるご入居者様とは入後に接点がないことも多く、管理会社として、入居者の現況を把握出来ることは非常に有難く、テラシテRを利用していて良かったと思っています。
(5)他の管理会社へのアドバイスはありますでしょうか。
高齢者の孤独死、それに伴う住宅難民問題は社会全体の問題であり、業界をあげて対策を講じるべきと考えています。各社それぞれの事情はあろうかと思いますので、例えば一部の物件で見守りサービスを試しに使ってみる等、取り組みやすいものから対策を始めてはいかがでしょうか。当社もみなさんと是非一緒に、この社会問題に取り組んでいきたいと思っています。
(6)将来の展望について教えてください。
入居に際しては家賃保証会社の利用・加入が必須という物件が大半になりつつあります。高齢者の入居を促進するためには、家賃保証会社と管理会社が協力して取り組む必要があり、家賃保証会社による更なる商品開発が必要だと思います。当社としても家賃保証会社に高齢者の入居促進に資する商品開発を働きかけていきたいと考えています。